2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

いくら修行に励んでいるつもりでも成長せず、同じ処をグルグル廻り続ける人がいます。彼は誤った船に乗っており、航路を知らぬ船頭が、誤った流れに入ろうとしているのです。船とは轉倒した見解、船頭とは自意識です。正師のもとで正法をいくら学んでも、結…

健全で明晰な意識を臨終の瞬間まで維持し、涅槃に至る修行を少しでも長く支える為に、お釈迦様は四資具、即ち、衣・食・住・薬の使用を定められました。忌避せず、耽溺せず、苦痛を除去し意識を明晰に保つ為に、衣・食・住・薬を賢く用いること、お釈迦様は…

他人の信仰心を意図的に破壊する事は、想像を絶する不善行為です。信仰を破壊されたその方が、もしそのまま信を確立できずに死を迎え、四悪趣に堕ちたとしたら?盲亀の例えの如く五億年後の弥勒仏には間に合わぬかも知れず、その後の六十阿僧祇は仏の降誕は…

私達はみな不完全です。過ちに気づいたらその場で改め、同じ間違いを繰り返さぬよう精進すればいいのです。他人の過ちは大きな心で赦してあげて下さい。そしていつも「お釈迦様だったらどうされるだろうか?」と、随念しながら行動するのです。そうすれば過…

有分心は異熟善心であるものの、凡夫の速行に生ずる業心は、ほとんどが不善です。一方、成熟した仏教者の心には、甘美な善心が絶え間なく生起しています。その度に清らかな喜びの涙と、身が縮む程の謙虚さが、彼の心を席巻します。平静を装っていますが、心…

曹洞宗の信徒が日々読誦する修証義には、現報受、次生受、後次受が説かれています。善行や悪行が形成する業は、今生と来世と次の次以降の生存の三時に亘り、業果を生むという理法です。説一切有部のアビダルマがこんな処に息づいています。日本の伝統仏教の…

人の命は無常です。いつ何時にも死は訪れます。死の速行に入ったあなたを、誰も助けることはできません。一生かけて築いた財や地位や家族が、ついに目の前から消え去っていく時、あなたはしみじみと悟るでしょう。私を本当に支え救済してくれるのは、菩提心…

国の恩、親の恩、三宝の恩、衆生の恩、これら四恩を至心に随念して下さい。一つ一つ、具体的な例を思い描いて、生き生きと観想するのです。そうすれば、そのどれもが、正に圧倒的な恩だとわかるでしょう。人は愚かさの故に恩知らずとなり、智慧が熟せば熟す…

目上や目下、子供や友人に至るまで、決して人の性質や人格、存在そのものを否定する様な批判をしてはなりません。個々の誤りを正すにとどめ、お前は~だ、あの人は~だ、と決めつけてはいけません。さもないとその人はやがて他人や社会に怯えながら、怒りを…

言葉は思考の概略を伝えるだけの、不完全な伝達手段です。心を震わせる音楽の感動は、言葉で再現できません。禅定の境地も涅槃の境地も、言葉の表現を超えています。言葉で表現されたものは「戯論」に過ぎぬ故に、むしろ「不立文字(ふりゅうもんじ)、文字…

人間に生まれ、仏教に出会い、師より深淵なる教えを聞くことを得て、修行方法の開示をも受ける ーなんという稀なことでしょう!この人生でそのすべてを得たならば、今がその時です。次はありません。何もかもかなぐり捨てて、必死に精進する以外に、この人生…

人間として生まれるのは実に稀な事です。誰でも人間界に再生できると高を括っていると、足をすくわれます。日本代表に選ばれたサッカー選手が、できる限りチームに貢献して、万が一にも選抜から外されぬよう、懸命に努力する様に、私達も修行成就を目指して…

生の実相と死の実相を正しく知ることから、仏教は始まります。生死の繰り返しが輪廻、その駆動力が善業と不善業、善と不善からの解脱が涅槃です。いまだ輪廻の中にあるも、涅槃への道程を歩んでいる時、私達の生死は厭う必要のないものとなります。それが「…

世間的苦の本質はDosa(瞋)です。これは「怒り」と解されますが、本質的には「その事実を受け入れられない」という感情です。釈尊は一切のDosaの背後には、渇愛というLobha(貪)が潜んでいる事を明かされ、瞋の抑制には無瞋(慈悲)、貪の抑制には無貪(布…

一切を知った過去仏に対し、その教えに対し、その教えを体得した弟子達の集いに対し、心からの献身の誠を尽くした者は、その正道により、その信により、その精進により、その智慧により、また何よりも三宝の祝福によって、世の実相を見、苦を離れる智慧を得…

家族や友人、同僚の為にも祈って下さい。あなた達は深い縁で結ばれています。彼らとの関係を善なるものへ正常化する事で、あなたは業を消化できるのです。「私の人生に居てくれてありがとう。あなたが居るから私の人生は光り輝き、喜びにあふれるものとなり…

日本語の祈りは「意宣り」で、本来は神仏の御意志を確認し賛嘆する事でした。基督教徒が「主の御名において」と祈る様に、貪瞋痴を離れた心で、我が願いを仏の御意志と一つにし、「三宝のみ心のままに!」と、感謝の誠を捧げて祈れば、あなたの祈りは聖なる…

人の心を独占する事はできません。ましてや他人の過去を、どうして意のままにできるでしょうか?相手を縛り自由にしたいなら、私達はその人を貪りの対象と見ているのです。他を尊重し、あるがままに受け入れ、所有への執着を危険と見て厭う事が、慈愛という…

深い苦痛に苛まれている人は、他人の慈悲や優しさを受け入れられず、返って周りに対し、剥き出しの害意を向けてしまう事があります。未熟な人はそんな時、怒りで反応しがちですが、真の仏弟子であるあなたは、「苦しいね、苦しいね」と、さらなる慈悲と優し…

信仰を前提とする道なのに、まるで信仰が重要でないかの如く語る人を信用してはなりません。理屈を超えた不動の信仰を、盲信と蔑む人を信用してはなりません。篤き信仰があってこそ、人は精神の貴族となるのです。より善くより尊く生きることができるのです…

涅槃を目指して修行する、一切の生命の安楽を希う、世間知らずの子供っぽい願いですか?そんなことはありません。青いくらいでちょうどよいのです。青くなければ仏教などできません。青くなければ涅槃など目指せません。だから青いままでいいのです。いや、…

今日は万仏節、別名僧伽の日です。傳修院の参学者は、僧伽内だけでなく、社会全般において、礼儀と義を重んじ、敬語、丁寧語、謙譲語を、常に心から使うようにして下さい。そして他人の悪口や噂話は一切しないこと、友人に対して、できる限りの善意と思いや…

私の嫌いなアメリカがあります。ケネディ大統領の暗殺、ロバート・ケネディの暗殺、テッド・ケネディの自動車事故、JFK.Jrの事故死、9.11、アフガン/イラク戦争、2020大統領選。稚拙な筋書きをそのまま受け入れろと言わんばかりのこれらの事件を追求すると命…

人類に祝福の光を与えた往昔の至聖達は、みな「在野の賢者」たる事を選びました。俗人は無意識に彼の失脚を願い、至聖は人々を愛しつつ世を厭うたのです。英語の表現を借りれば、They love you when you're 6 feet in the ground,人々は入墓した君を愛するだ…

太陰暦は実に理に適っています。釈尊在世当時から、新月、上・下弦の半月、満月には、布薩会が開かれてきました。また地暦については、伝統的な六十干支が合理的です。例えば今日は辛丑年庚寅月癸未日。立春は2/3の24時頃でしたから、ちょうど6時間ほど前に…

では嫉妬を乗り越える為にどんな心を生起させればいいでしょうか?嫉妬のカウンターダンマはMuditā(喜)、慈悲喜捨の喜です。この思いはAdosa(無瞋)すなわちMettā(慈)の心から派生します。他人の利得や、善心に随起する幸福を、祝福し、賛嘆し、自分の…

嫉妬には十分注意する事が必要です。嫉妬は自らを一分も利することはありません。自分の手に無いものを他人が持っているとの認識によって生ずる怒りが嫉妬です。嫉妬は我が家と隣家の青く美しい芝生を焼き尽くします。嫉妬は心に生ずる最も醜悪な感情であり…

「見る」とは眼識が眼浄という器官に生起し、対象である色彩を知覚する事です。見る当体は眼識であり私ではありません。眼識は一瞬のうちに生起し消滅する現象です。見ている対象は色彩であり、異なる刹那に見る異なる色の組み合わせを頭で再構築し、それが…