2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ある真理を看破して悟りを得た師は、弟子達にその道筋を言葉少なく語ります。内的に何も体験していない求道者が、表層的な理屈を武器に挑みかかっても、師は決して議論することはないでしょう。求道者にとって、言葉は彼の精神性のすべてですが、師にとって…

行。何と魅惑的な響きでしょう。自ら入行を決意すれば、どんな理由であれ、決して挫折することはできません。遭遇する様々な障害は、克服すべき試練に過ぎません。確かに楽ではありませんが、決して辛くはありません。わが信、わが矜持は忘我の至福の中で、…

初めてひとりでトイレができた時。初めて補助輪なしで自転車に乗れた時。初めて浮き輪なしで数メートル泳けた時。初めて外人に英語が通じた時。その時の達成感と喜びを思い出してください。突然できるようになるのです。ちょっとぐらい難しいからといって、…

習慣の三階梯自ら決めた習慣を日々継続することは、花の首飾りに通す一本の中糸のように、生活に美と秩序をもたらします。 自らの意志で続ける習慣は、強制ではないが故に壊れやすく、継続には固い決意が必要です。 決意した習慣の継続が修行であり、継続か…

年間の晴天日数は220日程です。あなたは日の出と日の入の時間を、有効に使っていますか?あなたから見える日の出、日の入でいいのです。光を浴びて静かに佇み、身体と呼吸と心を調えて、神聖なバイブレーションを身体いっぱいに感じ取り、光と一体になって下…

人と人との繋がりはかけがえのないものです。今生で私達の周りにいるのは、輪廻を超えた深い縁で結ばれた方々ばかりです。敵だ味方だと、貪りや怒りで向き合えば、諸とも四悪趣に堕ちてしまうでしょう。今こそ私達は慈悲と離貪を礎とした正思惟の心で、うる…

長く僧伽に参詣できないと、心が三宝から離れやすくなります。そのような時期には、普段以上の念と自律が必要です。修行者は日々、五戒を読誦し、六随念と吉祥偈を読誦し、六十日行等、自ら定めた瞑想修行を厳密に行い、修行日誌をつけ、自らの菩提心を絶や…

修行生活をチェックする四つの項目があります。修行の最終目的を常に明確に捉えているか?仏法僧への信が日々燃えさかっているか?間断なく休憩なく、為すべき事を為しているか?もうこれ以上できないという限度いっぱいまで、為すべき事を為しているか?ぜ…

非常時は四正断のチャンスです。過去に煩悩作意で始めてしまった事は、即刻切り捨て、以後、煩悩を因とする行動を慎むよう、念を凝らします。善作意を因として始めた習慣は、何があっても維持・継続し、さらなる陰徳を積み重ねていきます。夜が明ければ、眼…

こんな時だからこそ、人の為に何ができるか、考えてみましょう。外出自粛の今だからこそできる、何かがあるはずです。誰かが必要としている何かが、必ずあるはずです。手作りマスクでも消毒液でも、何でもいい、行動しましょう。どんな事でもいいから、人の…

一人の感染者の後ろには、不安と恐怖に苛まれた、多くの家族や友人がいます。一人の死亡者の後ろには、深い悲しみに打ちひしがれた、多くの家族や友人の涙があります。私達はそのように数字を見なければなりません。そのままでは数字は概念にすぎず、その背…

Supreme Barrier。お釈迦様は一切衆生の救済のために、法を説くことを誓願され、無上正等覚を得られました。故にお釈迦様の御心とは大慈悲であり、大慈悲はそのままお釈迦様の御心なのです。三宝の大慈悲心があなたを護る為に光り輝くとき、一切の魔障の者は…

定義と論理が変化しない美しい議論を聞く事は、ほぼありません。双方の定義は大抵最初からずれていて、論点が変わる度に条件や定義をさらに微調整するので、混乱は制御不能となります。正念正智の人は、言語の不正確さが耐えられません。龍樹が「一切の言語…

感染の恐怖。経済的不安。マスクや消毒液の不足。怒りの種が尽きませんか?怒りを動機として世の中を変革することは、確かにできます。しかし私達仏教者が行動を起こす時は、怒りを克服して無常・苦・無我の視点に立ち、人々の安全と福利を心から願い、大慈…

世界中から何百万人もの観光客を迎え、空前の五輪景気に湧くはずだった2020年春の日本。それが今、異国に端を発した疫病で、史上最悪の大恐慌に巻き込まれんとしています。世界の本性はこんなものですが、無常・苦・無我に不慣れな人の心は傷つきました。ど…

測定可能な物理世界の理(ことわり)を抽象化していくと、数式という究極の美に至ります。実証可能な内的世界の理を抽象化していくと、アビダンマという究極の美に至ります。最先端の理論物理学の研究には最高度の数学が必須なように、妥協なき八正道の実践…

ペストでケンブリッジ大学が長期休校となり、学生だったニュートンは故郷に疎開して、万有引力を発見したと言われます。非日常的日常に適応せざるを得ない中、この状況をわが最高のチャンスに転換し、最善のものを引きだす方法を見つけましょう。私達に必要…

仏陀在世当時から、弟子の信の対象は仏法僧の三宝でした。仏陀入滅後も弟子達は、様々なニミッタを通して、三宝に心を向け続けてきたのです。仏舎利、仏塔、仏足石から始まり、仏像、曼荼羅に至る様々な本尊はすべて、三宝に心を届ける足掛かりです。正しく…

先週から傳修院で伝法を始めた三相四十行相は、無常、苦、無我の三相を、様々な側面から多層的に観る観法です。例えば或る現象群、心臓なら心臓という無数の色(しき)の連続体を、四十の視点から識別・考察し、内在する無常性、苦性、無我性を、徹底的に暴…

豊かで平和な世界は、多くの人々の努力で作られ維持される、本質的には表層的で脆弱なものです。恒久・安定と見てはいけません。世界はいつでもガラガラと崩れうるのです。自身を守るには貪瞋痴を離れ、今この瞬間を淡々と観察していくしかありません。菩提…

最後の一切れのチーズが欲しければ、隣りの人に与えなさい。誰かに怒りを感じているなら、その人にプレゼントを送りなさい。言いたいことがあるなら、沈黙を守りなさい。世の中はそのように動かすものです。もしあなたが、両手に抱えきれない程の果実を収穫…

自らの性善性を第二の天性へと高めるには、陰徳が最も効果的です。相手に知らせず、心からの善なる思いで、その人の為に黙々と善行を続けていけばよいのです。その行為を自己正当化の道具にしてはいけません。そんな「誰も知らない秘密」があればあるほど、…

この世界を仏国土にするには、あなた自身があらん限りの善なる思いを、周囲に放射拡散していけばよいのです。周りの人達もまた、その人なりの精一杯の善意を、周りに放射していくでしょう。各自の資質や能力など関係ありません。心からの善意が相互に感応道…

パニックで動いてはいけません。あなたの判断は、一瞬の感情のゆらぎに左右されていませんか?先入見に基づいているのではありませんか?重大な判断であればあるほど、貪り、慢心、恐怖、不安、怒り、嫉妬、無知から生じる感情を抑制し、智慧と慈悲にあふれ…

コロナ危機は私達に、世界を少しだけ深く見せてくれています。絶対的安定がいかに脆く崩れ落ちるか。壊れたものは二度と戻らず、それでも世界は継続していく。心の支えだったものの脆弱さを知り、今や依存できる何もないという恐怖に、心が震える。私達は今…

昨日までの平穏な日々が、今日に繋がらず、今日の予定調和が、明日には否定される。存在に内在する本源的性質の一つである「無常性」は、私達の思惑など意に介さず、不可逆的に変化流転を続けていきます。凡夫はそれによって苦しみ、聖者はそんな世界に見切…

「身を守る」とは、自らに対する「今この瞬間の気づき」を、継続することです。破壊的な現象はどのように起こるのか?煩悩への耽溺を、ほんの一瞬だけ自分に許してしまうこと、そこから一切の苦が始まります。故に「今この瞬間への気づき」の継続だけが、我…

業果は、たとえそれが破滅的なものであっても、最初は静かに平安に訪れると、アビダンマは教えています。今回のウイルスも特に注目を集めることなく、地球の片隅で秘かに発生しました。このパターンをよく記憶しておきましょう。将来私達を襲いうる不善果も…

他者の死を前提とし、その死を期待しつつ、自分の繁栄を求めてはいけません。自ら地獄に堕ちることになります。他者を没落させるための、計画を立ててはいけません。自らが没落します。不善な意欲で得た利得は、必ず数年で色あせます。さらに晩年は苦しみ、…

怒りと嫉妬の潜在的傾向性は、心底に蓄積され、幸せになる為のあなたの計画を、破壊します。煩悩の爆発は危険な蜜の味。炎に飛び込む蛾のように、破滅的な至福に我を忘れるのです。何と理不尽なことか!あなたは「救われない」人になってはなりません。怒り…