2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

修行者が様々な教えを判断する時、次のクライテリアに従って下さい。1. アビダンマに符合するなら是認する。2. アビダンマに照らし合わせて誤りなら、 是認せずに距離をおく。3. アビダンマの領域を逸脱しているなら、 解脱に不必要な説として、 判断せずに…

真理は言葉で語りうると、疑わない人々がいます。Dhammaの真髄と三蔵の関係は、音楽と楽譜の関係に相似です。楽譜は図面に過ぎず、人を感動させる音楽を奏でる事は、全く別の次元の話であるように、三蔵を学ぶだけでは心は清まりません。私達は心のピアノを…

他者の幸不幸は他者のものです。幾ら想いや言葉や行動や教えや財を布施しても、あとは彼等に委ねるしかありません。破ることのできぬ個体化の原理の中で、誰もが孤独です。私達自身、足のすくむ未結実の不善業果を引きずりつつ、何もできずにいます。この無…

利益や名声、名誉など、予期せぬ幸運が訪れた時、感情を高ぶらせるのは愚かなことです。それらが失われる時、彼は今度は失意の涙を流すに違いありません。世事の運不運は過去の複雑な業果による、八世法の気まぐれと流しておきましょう。賢者は出世間福だけ…

追い詰められて絶体絶命に陥った夢を見た時、あなたの対処法は次のどれですか?1. そのままピンチの主人公を演じ続ける。2.「これは夢だ」と達観しつつ、そのまま夢を見続ける。3.「これは夢だ」と知って、目覚めてしまう。お釈迦様の中道は3.に相応します。…

仏教では依るべきは人であり、宗旨宗派ではありません。お大師さんへの想いで密教を学び、パオセヤドーが好きで大寺派の修行を修めましたが、両宗門の権威と教えに完全に満足した訳ではありません。真言宗も大寺派も、ほとんどはガラクタの山で、そこから宝…

あなたは日本でかけがえの無い生を受けました。程なく仏教に出会い、三宝に帰依しました。あなたは今、本当の八正道を歩み始めています。過去世から蓄積してきた波羅蜜が、あなたを後押ししてくれています。それがあなたです。何という恵まれた祝福でしょう…

あなたが日々感じる一切の苦を、受け入れてみましょう。苦から眼をそらさずに、ありとあらゆる苦しみを、苦しみと認めてみましょう。バンドエイドで出血を抑えながら生きていくのは止めましょう。苦は超越すべきものです。覆い隠して、まるで存在しないかの…

肉体がとても痛む時、心がとても苦しい時、それは輪廻転生の苦しみだと知って下さい。どんな疫病に感染したとしても、誰があなたをおとしめたとしても、あなたの苦しみを、卑近な物や人のせいにしてはいけません。結局それは人間として生まれ人間として死ん…

私達が鍛え上げ、栄養を与え、美しい体型の維持の為に、お金をかけているこの肉体の終着駅は、火葬されてカスカスの骨と灰になるか、腐敗し乾燥して土化するか、他の生物の胃で消化され排泄されるかです。この身体には実体がなく、いつでも焼かれ、腐敗し、…

諸悪莫作、諸悪をなさずとは、他を傷つけぬよう自らを律する意で、戒行に相応します。衆善奉行、衆善を行うとは、財施・法施・無財の七施等、施行全般に相応します。自浄其意、自らを清浄にするとは、七清浄の修行道に相応します。かくして七仏通誡偈は仏教…

常に善心を喚起し、不善心を抑制し、自らの信じる善行を勇気を以て行うこと。そこには妥協も、忖度も、堕落も、言い訳もあってはなりません。自身で自身を厳しく律し、善を生み不善を排除すること。それこそが戒律とよばれる法の本質です。そこからすべての…

あなたが掴んでいる一切のものは、ババ抜きで配られた札に過ぎません。誰の所有物でもない、何の実体もない一時的な現象に過ぎません。その事実に気づき、僧伽や修行者や家族や貧しき人々に、適切な方法で惜しみなく施しましょう。あなたの未来の幸せと波羅…

時間軸に沿った依止縁だけを縁起と見ている限り、世俗諦は砕破できません。すでに伝法したように、二十四縁起は百以上の縁起の型から成立しています。それらを駆使して精密に分析すれば、真諦における縁起の姿が明らかになり、中論頌の言説の一つ一つが、真…

今まで八年間、アビダンマ、無礙解道、十二縁起、二十四縁起を、共に学んできた皆さんは、今こそ、学んだダンマの知識を駆使して、世俗諦での随念を反復修習して下さい。次に、今後伝法予定の五部論等を通じて、世俗諦から真諦へと智見を深めて、いよいよ真…

現象が継続的に存在するとの謬見を破壊できぬまま、世俗的な生起を観察すれば、世俗的な消滅だけを理解し、世俗的視点で「一切は無常である」と認識するに至ります。しかしそれでは聖なるダンマの扉は開きません。刹那的生滅、即ち真諦を観る智慧によって、…

長く生きていると、人生には若い頃思い描いた様な成功はない、という事がわかります。人生に常住・常楽・完全支配・浄美はなく、その本質は無常・苦・無我・不浄である事に気づく訳です。そんな人生こそ大成功なのだと思います。それに気づかず幻を追う生き…

メカニカルな反復練習を日々続けていくと、これ以上一歩も進めない、というポイントに達します。大抵の人はその前に止めてしまいますが、もしあなたが幸運にもそこに辿り着いたなら、思考を止めて練習を続けて下さい。やがてあなたの身体が、あなたの心が、…

仏教修行は、四種の禅定智、十二種の観智、四種の出世間智を経て、完成に至ります。これらはどれも、修習を重ねて熟成に至った時、突然向こうからやってくる能力です。ちょうど、自転車の練習をしていると、突然乗れるようになるのに似ています。教えは地図…

手放しを深めていくと、そこから先はどうしても掘り進めることができない、固い岩盤に突き当たります。それを手放すと自分の根っこが崩れてしまいそうな頑固な渇愛層です。その時強い執着が生じ、それを手放す事への激しいDosaが生じます。その岩盤へのチャ…

無明は、今この瞬間に生起した名色を知覚・感受すると、似た現象を記憶の中から検索し、その固有の名色に一般的な名札と意味をつけるのです。それ以後、直接経験した名色ではなく、名付けた名前と意味を使って、思考し論理を組み立てていくのです。これが戯…

世の中では諸々の事物は、無明に立脚した轉倒した知(無常→常住、行苦→常楽、無我→実体、不浄→浄美)によって記述されます。生起・止住・消滅、存在・非存在、劣・同等・優などとお釈迦様が説く時、世間の轉倒した言語を使って語られるのあって、不轉倒の真…

南伝論蔵を詳しく学べば誰でも、無数の矛盾点や、それらを隠すパッチワークに気づきます。そしてそこにこそ、お釈迦様が本当に説かれたダンマを解き明かす鍵が隠されているのです。南伝の矛盾を理解し、更なる高みを目指すには、大寺派論蔵という不完全なハ…

「時間は概念」というダンマは、過去は記憶、未来は想像であり、一瞬一瞬現れては消えていく「今この瞬間」だけが真実だという意味です。説一切有部を始めとする上座部の誤りは、過去も未来も実有と見たことです。その前提で無我と縁起を説くものですから、…

実在するものにも実在しないものにも、生起消滅はありません。故にJarā(老)すなわち、時間的経過も、成長→熟成→腐敗のプロセスも、そこにはありません。これらの言葉の意味を正確に知って、世間的直観として受け入れた誤った見解を破壊して下さい。縁起に…

たたわに実る重い房を幾つも支えているバナナの木は、幹への鎌のひとかきで崩れ落ちてしまいます。人はどんなに富貴であっても、いや富貴であればあるほど、実りを支える為の犠牲は大きく、衰退と消滅を先送りしつつ、まるで成長と継続が彼の本質であるかの…

善行であれ不善行であれ、それは楽しいだろうとの期待が生ずれば、貪欲が生起し、人を輪廻に縛ります。貪欲が今生と未来生にもたらす苦が、心底に明確に刻まれれば、楽しいという期待は萎えて、生起消滅する一切は苦であるという智慧が生じます。人はこの視…

ひとは直感的に物質も身体も心も感情も、継続的に存在していると捉えてしまいます。これらの主体が存在するという見解、或いは存在しないという見解を持っている限り、苦から解放されることはありません。聖者は存在と非存在の相互依存の縁起関係を完全に了…

疫病苦が長く続くと、世界のあちこちで不満が爆発します。こんな時私達は、優先順位を明確に知っておく必要があります。何をおいても人の命を守ること、そして最低限度の生活を支援してあげることが、最優先です。その上でマクロ経済の回復を考えていく。こ…

根(indriya)とは力の源泉です。人を輪廻の生存に縛る根は、女・男・命の三根、眼耳鼻舌身意の六根、及び楽苦喜憂拾の五受根の計14根です。輪廻から出世間へ脱出する力の源泉は、信・精進・念・定・慧の五根です。預流に入り阿羅漢果に至る為には、未知當知・…