2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「比丘は歩きながら『私は歩く』と了知する」とは、「私は歩いている」と実況することではありません。それは単なるメタ認知です。歩きつつ毎瞬生起する「歩く意図」を確認し、その意図と随起するCittaが心生色を形成して、肉体を歩行せしめている、その流れ…

精精神的な事を考えていて、私の夢、私の性格、私の才能、私の好み、私のスタイル、というフレーズがでてきたら、気づいた瞬間に思考をストップして下さい。Diṭṭhiという不善心所が生起していますから、いかなる判断も結論も出さず、仕切り直して下さい。健…

ダンマで学べる大切なもののひとつに「世界の読み取り方」があります。「私にとってのダンマ」を探している限り、ダンマはあなたに何ももたらしません。ダンマの視点に立って、ダンマが記述する通りに世界を読み取っていきましょう。そうすればあなたは少し…

一切の生きとし生けるものが安楽であるように!この想いをいつも湧き上がらせるには、できるだけ多くの生命への慈愛の想いを、蓄積していくことが大切です。慈愛は生起させればさせるほど、ほとばしりやすくなります。そして慈愛の限界を拡げて強めていく為…

不善思考を一切生起させない最高の方法は、定縛か行縛の実践です。Meditation Anchorとも呼ばれています。もしあなたの修行業処が安般念なら、一日中ずっと安般念をやり続けるのです。食事中も、家事の最中も、通勤中も、仕事中も、安般念をやり続けるのです…

手のひらを見て下さい。見ているのは眼識 - Cakkhuviññāṇaであり、あなたではありません。「えっ、私が見ているんじゃないんですか?」私達は「私」を想定し執着しますが、それは概念上、仮に設定した「知る視点」に過ぎず、そこに如何なる実体もありません…

一度の不善行為は、その行為を繰り返す心癖を作ります。自ら耽溺し自暴自棄となり火に飛び込む夏虫のように四悪趣への不善業道に堕ちていきます。心に貪りや怒りが燃え上がり、制御不能の大炎となって自身を焼き尽くす前に、今すぐ手放して下さい!とにかく…

不確実である未来に期待し拠り所にすれば、必ず苦の種となります。喜びを未来や過去に求めることは、空しいことです。今この瞬間に心を向けてください。そこに喜びの泉があるのがわかりますか?現実に根ざした、いかなる不安もない、清らかで不動なる至福の…

物事がうまくいっている時、あなたの最大の敵は慢心と自我の肥大、そして「もっともっと!」という貪りです。必ず足をすくわれます。強運を失いたくないなら、謙虚さと感謝、足るを知る心と分け与える心を育みましょう。P.S.どんな事情があろうと、怒りと嫉…

物事が最高にうまくいっている時は失敗や転落の原因が至る所に隠れています。どん底に突き落とされ何もかもが逆風になっている時は、反撃し成功する鍵が至る所にあるのです。順風はピンチ、逆風はチャンスです。いま講義中の四正断をこの視点から見ると、き…

いくら布施をしても御利益が得られない、そんな時は心をレビューしてみましょう。見返りを求める気持ち=貪りの心がありませんか?善行は商取引ではありません。三宝へのご奉仕をさせていただく、心の穢れを浄める為に掃除させていただく、ありがとうござい…

Assimilate. 消化した後に吸収し自らと同化させること。私が「随念し沈殿させ」という時、実はこれを意味しているのです。真摯に仏教修行をしていると、日に何度も強力な善心が生起します。その時必ず瞑目してその意識に浸り、ゆっくり一呼吸して下さい。私…

天国も地獄もどこか別の場所ではなく、この地上にこそあると言う人がいます。実際の輪廻世界は31の境涯からなる複雑な層で構成されますが、確かに各境涯の境地に酷似する意識は、人間界の至る所で見出す事ができます。言い換えれば私達の心でこの地を天国に…

財も名声も地位も福徳も人望も愛情も、与えれば増大し、求めれば減少します。Alobha で豊かになり、Lobhaで貧しくなるのです。お釈迦様は「食べるにも困っているのか?ならば布施をせよ」と仰いました。この単純な理法を知ってはいても、どうしても実践でき…

大好きな人と、美しいものと、よい音楽と、よい食べ物と、よい香りとに囲まれて生きることがあなたの幸せなら、どうか貪欲をあなたの神にして下さい。現世利益を約束してくれる神様を信仰して下さい。そこで必要なだけお布施をして下さい。でも私はご免です…

話していると、どんなに気をつけていても、気づきを失う瞬間が必ず訪れます。その時「舌が少しだけ虚栄心を満足させよう」として、あなたが積み上げてきた自己抑制を台無しにする言葉を発してしまうのです。頭に浮かぶそばから語るのではなく、むしろ抑制し…

1. 文字や音声で理法を学ぶ。2. その理法を理解し要点を暗記する。3. その理法を具体的な事象に当てはめ、 様々に随念して使える形にする。4. 随念した理法をできる範囲で 徐々に具体的な行動に移していく。このように学んだ理法を実行力に直結させてあなた…

ブッダダンマの特徴のひとつは、自力でどうにもならないことは意に介さないという事です。即ち、誰もが他人に慈悲深くあるべきだとか、なぜ人は他人に慈悲深くないのかとか、どうか人々が慈悲の心を持つように等と言及することはありません。先ず自分が慈悲…

善行を日課として継続的に行うのは、たいへん素晴らしいことです。特に法友、家族、同僚、友人など、人に対する善行の場合、相手から不機嫌な言葉や行為を浴びせられることがあっても、決して怒ってはいけません。最高の修行の機会を頂いたと捉え、できうる…

密教修行をしていた頃、金胎両部曼荼羅を学んで愕然としました。胎蔵曼荼羅の発心-修行-菩提-涅槃のスパイラルは七清浄のアルゴリズムじゃないか!金剛界曼荼羅の三十七尊供養は、三十七菩提分法の取相に違いない!私はお大師様が両部曼荼羅を用いられた理由…

和顔施とはただ優しい表情をすればよいというものではありません。先ず慈愛の心を生起させ、そこから自然に優しい表情をかもし出さねばなりません。和語施も同様です。心に慈愛がなければ、和顔施も和語施も、虚ろな欺瞞になってしまいます。心を込めてお布…

十二縁起の理法を理解しました!と阿難尊者が申し上げた時、お釈迦様は「阿難よ、十二縁起は実に深遠で理解し難いものだ」と注意されました。四聖諦も十二縁起も、最初は古びた迷信のように安易で不完全に見えますが、修行すればする程、その汲み尽くせぬ深…

所持品に、財力に、美貌に、人脈に、善き趣味に頼るのは、すぐに止めましょう。あなたの自意識が依って立つ一切が老年に至れば消滅します。何もかもが望む様にならないと、心に不満が吹き出し続けます。そんな老年は嫌でしょう?そうならない為の仏教です。…

今この瞬間の所縁や心をあるがままに観て了知する事が、正念正智、即ち四念処の根幹です。普段から基本的な随念を繰り返し修習していれば、あなたが何をしている時であろうと、正念正智は突然やってくるでしょう。その瞬間、言葉に言い尽くせぬ深い安らぎと…

2001.9.11の同時多発テロの日、私はNYにいました。ツインタワーから立ち上る煙も突然パンケーキ崩落する様子も間近で眼にしました。灰だらけで現場から走り帰る友人達。倒壊現場は溶けた鉄の血の池地獄と化していました。あの経験によって、私の無常苦無我観…

社会の中のあなた、人間関係の中のあなたが、あなたなのではありません。しばし演ずるのをやめ、静かに眼を閉じて、呼吸を見つめてください。懐かしい母親のように、息はいつでもあなたを暖かく迎えてくれます。そこがあなたの家。これからは用事がある時だ…

世の中に不正や差別、不平等や謀略を見れば、誰でも怒りがこみ上げ、鉄拳を振るいたくなるものです。それでも私達仏教徒は正思惟の心で対処して下さい。自らの功利慢心ではなく、関係する両側の人々への慈悲と哀れみを以て、全員にとって何が最善かを唯一の…

期待すればするほど智慧が生起する条件は失われていきます。強く希求しなければ得られないけれど、無理矢理生じさせることは絶対にできません。凡そ人生の善きものは純粋なKusalaには即応して生じ、不善なる思いには応えてくれないものです。故にいつでも手…

「彼はハイメンテナンスだ」という英語の表現があります。いつも些細な事で機嫌を損ねたり傷ついたりするので、彼への言葉や行動に、常に気をつかわせられる、というタイプの人を指します。私達自身、気づかぬうちにハイメンテナンスな人になっていないでし…

「腹が立つ!」しかし何が不満かを分析したくない、解決法も受け入れたくない、ただ不機嫌を周囲にまき散らす。近くにそんな人はいませんか?彼は満足できない現状に固執しているのです。彼はあなたに甘えているのです。彼の心の叫びに耳を傾けて下さい。彼…