「施すことにより我が身を興す。」
この高貴な理法が信じられなければ、
手放すことはできません。
保険が、プランBが、という前に、
先ず退路を断って命を賭けてみるのです。
捨て身の人間ほど強いものはありません。
お釈迦様の直弟子達は皆、退路を断ち、
命を賭けて八正道を歩み、大悟したのです。
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塗りものの世界では、厚塗りはせず、
薄く塗り、乾かして再び薄く塗り、
幾層にも重ね塗って、
鏡のように美しく強い表面を作り上げます。
この反復と、積み重ねられた結果の関係を、
仏教では修習縁と呼びます。
修行者は日々修行を行う際に、
自ら修習縁を実践している事を深く認識してください。
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現実は時々刻々変転していきます。
一つの状態に定住し続ける現実はありません。
しかし実際にその様に正しく認識する為には、
何度も繰り返し修習し、
一切は一期一会の瞬間の連続であり、
摑み取れるものは何もない事を、
心に徹底的に叩き込まなくてはなりません。
如実智見はそこから始まります。
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「今この瞬間」
名色の連続体はすさまじいスピードで、
時系列にそって前に進んでいきます。
そして今、この瞬間の名色が、
その最先端として生起しています。
今まさに、業が形成され業果が結実し、
十二縁起が回転し、
無常性、苦性、無我性が表象し、
四聖諦のすべてがそこに顕現しています。
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トラブルの原因を相手や環境のせいにしてはいけません。
それでは問題は決して解決しないでしょう。
まず自分の身口意を変えてみてください。
思いやりをもって行動し、優しい言葉を語り、
心を慈悲で満たしましょう。
そうすれば変えようと思わなくても、
状況は音を立てて改善していくはずです。
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瞑想の修習を終えるごとに、
必ずその一座をレビューすること。
改善すべき点は何か、
どうすれば改善できるのか、
よかった点は何か、
どうすれば、よりよくできるのか。
いわゆる四正勤法を使って、
真摯に自己分析していくのです。
この善き習慣を身につけ、
阿羅漢に至るまで続けてください。