パオ僧院で私は初めて
本当の暗闇を知りました。
星一つ無い新月の夜
私の懐中電灯は電池が切れてしまい、
森の斜面に作られた曲がりくねった
130段の石段を登って
漆黒の闇の中、クティを目指さなくては
なりませんでした。
前に躓き、手をついて、
足の指と手のひらから出血し、
雑草の棘が足に刺さり、毒虫に喰われ
うずくまって手で暗闇を叩きながら、
次の段を確かめながら進みます。
目を閉じても開けても変わらぬ漆黒。 
石段を踏み外せば滑り落ちてしまう
恐怖を感じながら、
一時間かけてようやくクティに
辿り着くことができました。
星明かりのありがたさが身に染みます。