パオ僧院ではよく停電がありました。

新月の夜に灯が消えると、

暗闇で四つん這いになり、

曲がりくねった百五十段の石段を、

手探りで確認しながら、

自分のクティまで戻ったものです。

人生で初めて、

月の光の有り難さを実感しました。

正に世間は漆黒の闇の如く、

仏法僧は石段を慈愛で照らす満月の如し。